道路斜線という建物の高さ規制があります。
地域によって道路幅×1.25倍、あるいは道路幅×1.5倍の高さまで・・・と規制がかかっています。
こちらの写真は道路幅の1.5倍までという地域です。
このお家は、切り妻の棟が道路斜線にかかっています。
しかし、普通に建築確認がおりています。
よくあるお話なのですが、建築確認と実際には違う建物が建っているのです。
2003年頃(平成15年)までは、完了検査を受け、検査済証まで取得することが少なかったのです。
住宅ローンに検査済証が必須になってからは、完了検査を受けることが当然になりましたが、それまでは、敷地配置図とは違う位置に建っていたり・・・と、ままあることでした。
このお家の場合は、屋根の納まり方が建築確認の図面とは異なりました。
道路に妻壁が面しているので、棟の一番高い位置が道路斜線にかかっていますが、
図面では、妻壁が道路面に直角に納まっているため、軒先の低くなっている箇所が道路斜線より低くなっているため、
建築基準法に適合し、建築確認がおりていたのです。
この土地に、増築する計画があがり、道路斜線にかかるお家をどうするか?が問題になりました。
増築するには、建築確認が必要です。既存建物とは言え、敷地内に違法な建物があれば、建築確認が通りません。
そこで、緩和措置である天空率で検証することにしました。
天空率とは、建物の高さを検証する上で、ある地点から空を見上げたときの「建物の面積」と「空の面積」の比率を計算するものです。
従来の制限(この場合、道路幅×1.5倍)である建物に遮られることなく天空の見える割合より、実際の建物の天空の見える割合が大きければ、緩和措置に該当しますので、建築基準法に適法となります。
この場合は、制限を受ける建物より、実際のお家の天空率が大きかったので、適法と判断され、無事、増築が可能になりました。
天空率は計算してみないと分かりませんが、敷地の間口が広くて、制限にかかる部分が一部の場合、クリアできる場合が多いです。
ただし、所管行政庁によって既存建物についての取扱いが違うので、確認が必要です。
このような道路斜線制限の他にも、北側斜線制限や隣地斜線制限にも、天空率の緩和措置が適用されます。